がんの治療費は家計の支出の大きな負担となります。
がんの種類によっては治療期間も様々、治療期間が長ければ支出も増えます。
妻は病気発覚から、20か月後になくなりました。その間の治療費等の支出と収入についてまとめました。この記事は、元気だと全く想定しない病気による治療で生活設計が大きく狂うことに備えて欲しいことから、悩んだものの実際にかかった支出収入の金額を掲載しました。
給与と言う収入が途絶えた際の収入元を今の内から把握し、足りない部分については貯めておくのか、医療保険でまかなうのかを考えるキッカケになることを願います。
なお、本記事は妻を元にしているため、会社勤めの方を対象に作成しました。
支出と収入を項目建てしてまとめました。
このページの内容
外来&入院費用は高額療養費制度を利用
健康保険組合に申請して限度額適用認定証を貰うことで毎月の支出は5~6万円でした。
妻の標準報酬月額から算定された自己負担限度額は54,600円であり、4か月目以降は多数該当となり、自己負担限度額は44,400円でした。抗がん剤アブラキサン+ジェムザールの投与は1回で限度額に到達してしまうので、同月2,3回目の外来の支払いはなくなりました。治療期間の20か月の外来と入院の日数内訳は下表の通りです。
外来通院 | 70日 |
入院 | 101日 |
過ぎ去って文章にしてみると上記の通りですが、当時の感覚は「お金が飛ぶ様に減っていく」でした。
例えば、
薬局での支払い
診察時に処方箋を貰い薬局で薬を貰った際の支払いは「外来」に含まれるため、還付対象となりますが、2週に一度の診察で毎回5千円程、最後の方は1万円超えもあり、増える傾向はあっても減ることはありませんでした。一回支払っての還付は治療期間が長いとボディーブローのように効いてきます、
同月内に外来と入院
同月内に外来と入院があると“それぞれ”で自己負担限度額を払うことになり、総額は9~11万円になります。後々半分が「世帯合算」と認定され、こちらも後々健康保険組合から還付されますが、医療機関から請求の後、健康保険組合側で疑義が生じると詳細の確認が入るため還付まで1年程度かかったこともあります。
月をまたいで入院
抗がん剤治療を開始した後、胆管炎で緊急入院となり、月末2日、月初2日の合計4日の入院でも「入院」による費用が2か月ともに自己負担限度額となりました。
その他、健康保険外の支払い
入院あるあるで、差額ベッド代、パジャマ代、食費等々は別々に加算されていくので、健康保険適用の医療費と足すと支払いは8万円越えでした。
セカンドオピニオンは健康保険の適用外(全額自己負担)
膵臓がんの診断からセカンドオピニオンまででも書きましたが、セカンドオピニオンは全額自己負担で、もちろん交通費もあります。6箇所も回ったため、30万円程かかりました。
治療中は「欠勤」なので無給
妻の場合は強い抗がん剤を使用したため、副作用に苦しみました。病気発覚後から抗がん剤治療まで間もなかったので会社を休ませてもらいました。結局は復帰が叶わなかった訳ですが、手続き上は長期欠勤となり、妻のお世話になっていた会社では給料の支払いはありませんでした。働いていないため、仕方ありません。
社会保険料の負担は必須
通常勤務をしていると気づかない社会保険料の負担、これは給与から天引きされていることからあまり意識しないのが現状と思われます。しかし、無給となると社会保険料の負担が大きくのしかかってきます。収入がない中、毎月5万円弱の支払いを続けなければなりませんでした。
文書料は健康保険外の支払い
妻の場合は、下記の2種類をカッコ内のタイミングで申請していました。これらは健康保険の適用外となります。
- 医療保険の申請書(3か月毎、\10,800)
- 会社を欠勤する申請書に添付する診断書(半年毎、\3,240)
一方、他に傷病手当金の申請書に関しては健康保険適用のため、負担感はありませんでした。
傷病手当金の支給
傷病手当金とは病気や怪我で療養が必要となり、4日以上仕事を休むと支給対象となります。これは健康保険組合から支給されるものです。支給期間は最大18か月(一年半)で、概ね標準報酬月額の6割程度が支給されます。妻の場合、18か月満期で頂いた2か月後に亡くなりました。会社員の有難みを実感しました。
標準治療ではない民間療法等
妻は理系であったためか、数字の裏付け(エビデンス)のない民間療法には消極的でしたが、試せるものならとフコイダンやコウトウスギ等も入手して飲んでいました。これらは一升瓶一本で8万とか、錠剤で100錠程度で5万とか、藁にも縋る様でした。しかし、正直なところ、効き目があったかと言うと分からないところです。また、健康保険の適用外のため、全額自己負担となります。
在宅療養
妻は2か月の在宅療養の末、亡くなりました。最初は2日に1回程度、徐々に毎日訪問看護に来ていただきました。さらに訪問医療、介護物品のレンタルをしました。介護物品のレンタルは介護保険を利用したので月額3,000~5,000円と少額であり、助かりました。しかし、訪問の医療・看護は医療保険で賄うもので、毎月高額療養費の限度額に達していました。
まとめ
20か月の闘病にかかった支出、収入を下表にまとめました。
支出(340万円) | 外来、入院の医療費 (140万円) セカンドオピニオン (30万円) 薬局の薬代 (10万円) 診断書等の文書作成費 (10万円) 民間療法 (30万円) 療養休業中の社会保険料の補填(100万円) 在宅療養医療費 (20万円) |
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収入(545万円) | 限度額還付金 (30万円) 傷病手当金 (300万円) 医療保険 (215万円) |
治療期間の「収入ー支出=205万円」となり、黒字です。一方、病気をせずに働いていれば400万円の手取りの給与があったので、差額195万円が通常の生活から不足していることになります。
この不足195万円分をどうするべきか?
是非みなさん、自分のことと思い、備えてください。
副業もよし、貯蓄もよし、保険もよし。
病気になってしまうと闘病が第一となり、それ以外のことまで頭が回らなくなります。