病気発覚のきっかけとなった妻の腹痛から1か月で2回の入院・検査の結果、膵臓がんの疑いありということで、「地域がん診療連携拠点病院」である大学病院を紹介されました。
このページの内容
最悪の診断(2016年6月下旬)
退院後すぐに、大学病院を予約して外来を受診した結果、最終的な判断は生検を受けてからと言うものの、最悪の診断となる「局所進行膵癌」を言い渡されました。私はおぼろげでしたが、膵臓がんの難治性を知っていたことから、椅子から転げ落ちそうになるくらいに衝撃を受けました。一方、妻は「あー、やっぱり…」と冷静に受け止めていました。妻は膵臓がんに関する前知識がなかったので、がんになってしまったと思いながら聞いていたそうです。
翌週、入院&生検を受けた結果、後の主治医となる先生から下記の説明を受けました。
と言うことで、1週間後から抗がん剤を投与することになりました。
抗がん剤治療開始とセカンドオピニオンを受けることに(2016年7月)
大学病院を最初に受診してから2週間後には最初の抗がん剤を使うこととなりました。しかし、病気のことを調べ始めてからセカンドオピニオンが重要であることを知り、主治医の先生に相談したところ、「他の病院の意見も聞いてもらい、疑問点をなくして治療をしましょう。」と言っていただけました。巷ではセカンドオピニオンと言う言葉を出すだけで主治医との仲が険悪となると患者さんのブログで見ていたことから、拍子抜けしました。
本来であれば最初の抗がん剤を投与する前にセカンドオピニオンを受けるべきですが、病気発覚のきっかけとなった腹痛の原因が「がんが胆管を絞り上げる→狭める」ことにあったため、対処療法として検査中にステントを入れてもらっていました。そのことから治療を待つことによる進行を防ぐためにも治療開始に迷いはありませんでした。
セカンドオピニオンに受けるにあたり、私と妻の実家の反応は正反対でした。妻の実家は「主治医に失礼にあたるのではないか?」、私の実家は「行けるところはすべて行くべき」であり、セカンドオピニオンの浸透も人それぞれであることを痛感しました。
セカンドオピニオン(2016年8~10月)
セカンドオピニオンは6か所に行きました。なお、セカンドオピニオンをいただいた病院、先生方には親身になって回答いただき、感謝しております。
N病院(2016年8月)
・現在行っている術前化学療法の評価は、使用する薬は同じだが3投+1休の2セット実施。
・術後化学療法に使用する抗がん剤TS-1も同様に使用している。
・臨床試験で実施している腹膜播種の治療に腹腔ポートからのパクリタキセル投与は効果が認められる。
・20㎜程度の腫瘍は膵癌の場合、小さくなることはないと考えるべき。しかし、腫瘍の密度が薄くなることで血管から剥がれ易くなる。
妻の場合は膵頭部なので腹膜播種の可能性は少ないと聞きました。
K病院(2016年8月)
・切除可能でも術前化学療法を行う。
・術前化学療法はアブラキサン+ジェムザール、フォルフィリノックスのいずれか。
・アブラキサンは3投+1休の2クールであるが、年配の人が多いので”量”が少ない。
・当院ではボーダーライン膵癌は半年間抗がん剤を投与し、他に転移しないかの確認を取ることがある。
・当院の膵頭十二指腸切除は他の病院に比べ大きく切除するため、副作用として下痢が酷い。一か月の入院を要する。
・当院は神経も大きく切除するが、神経を残して放射線治療をする場所がある。
ここでは上腸間膜動脈の合併切除を行っていることがHPで分かったため、適応可能か聞いてみたところ、妻の場合は切除しきれないことから適用外となるとのこと。また、この術式では予後が良くないことも併せて聞きました。また、手術に備えての準備として
・ヤクルト400やミルミルで腸内細菌を整える。
・グルタミンを市販されているAbound(アバンド)か、エレンタールで採る。
・エレンタールは薬として処方できる。手術後に腸に直接入れている。
・グルタミンが不足すると筋肉を分解してグルタミンを作るため、寝たきりだと筋肉が落ちる。
O病院(2016年8月)
ここでは唯一、アブラキサン+ジェムザールと放射線の併用をしているとのこと。ギリギリまで攻めると言っていた。
M病院(2016年9月)
重粒子線の病院(2016年9月)
・腫瘍が十二指腸に近い。5mm程度離れれば重粒子線の適用となる。
・化学療法を継続して小さくなればチャンスが生まれる
・GEM+S-1と重粒子線の併用が可能
・生存率は他と比較していない。治療部位は良くなるものの、転移による死亡がある。
保険適用外で治療費は300万円程度と案内のチラシをいただきました。幸いにして、加入していた保険の「先進医療」に該当することから治療を受けても出費は賄えました。しかし、治療に至らず。
NNの病院(2016年10月)
・腫瘍は20㎜程度で、膵鉤部から背中側の上腸間膜動脈に接している
・腫瘍は膵頭部であるものの、 膵鉤部にできている
・膵臓がんの治療は針を3箇所刺して、電気を流す
・腹側から針を刺すNNでは血管の間を通すことになるが、 上腸間膜動脈と静脈の2,3㎜程度の間で難しい。
・もう1本、 その左側に針を刺したいが臓器血管の位置から不可能であり、2本のNNでは腫瘍の半分程度しか死滅させられないので、延命治療となる。ダウンステージにならない。
・定期的に診察し、腫瘍が大きくなれば針を刺すチャンスが出てくるかもしれない。
NNは保険適用外となり、手術代は300万円程度を提示されました。こちらは先進医療に該当しませんので、全額自費負担となります。
セカンドオピニオンは全額自費負担
セカンドオピニオンは保険がきかないため、全額自費負担です。何処も20,000円か30,000円に消費税でした。また、遠隔地へ行ったため、交通費もばかになりません。セカンドオピニオンだけで、宿泊費、交通費込みで合計300,000円程の出費となりました。
しかし、これらを受けたことで重粒子への選択肢があること、妻の症例では当時行っていた治療が一番であるとの結論に達しました。その後の治療にブレがなくなったので、受けてよかったと今でも思っています。
それにしても主治医の先生が嫌がらずに何枚も紹介状を書いてくれたことにも感謝しています。