前回から飛んでしまいましたが、セカンドオピニオン以降の話です。
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抗がん剤アブラキサン+ジェムザール治療(2016年7月~2017年3月)
抗がん剤はアブラキサン+ジェムザールを使用しました。妻が最初に受けた治療は2投、1休で1クールを3クールで評価したものの、腫瘍の縮小は認められませんでした。その後は、同じ頻度で進み、時に白血球の戻りが悪いと1週休薬となり、翌週投与となりました。抗がん剤も蓄積してくると副作用に変化もあり、白血球の戻りも悪くなり、体調は辛そうでした。代表的な副作用は下記のとおりです。詳細な副作用は別途まとめる予定です。
アブラキサン+ジェムザールの代表的な副作用
- 手足の指先のしびれ
- 指先の爪と下の肉が割れ浸出液でジュクジュクになる
- 手足のむくみ
副作用の辛さから、FOLFILINOXへの変更を申し出ようと思った診察時、主治医から想定外の手術提案をされました。手術提案がされなければどうなっていたのか?今となっては分かりません。
膵頭十二指腸切除術と3週間後の緊急開腹手術(2017年5月)
膵頭十二指腸切除術を受ける
妻の腫瘍はすい臓の膵頭部にあったため、膵頭十二指腸切除術を受けることとなり、膵臓半分、脾臓、十二指腸、胆管、胃の下部1/6を除去することとなりました。その際に合併症として膵液漏と仮性動脈瘤破裂について聞きました。5月11日が手術日となり、朝8時過ぎに手術室へ見送って、夜8時40分に終わったと看護師から話があり、教授と主治医から切除部位を見せられ、説明を受ける。しばらく、ホルモンは食べれないと思った。その後、9時40分にICUへ通された。長時間の手術で先生方の表情も疲労感が漂っていた。
恐れていた仮性動脈瘤破裂が
緊急処置
5月28日の夜、病院から緊急電話が自宅へ入った。腹部内の動脈から出血しているので、血管造影の処置に入るとのこと。自宅にいるため30分後に病院に到着する予定を伝え、必要な処置を施してもらうように伝え、慌てて家をでる。後で聞いた話では「癌の浸潤を削った場所の上腸間膜動脈壁が薄くなり、動脈瘤化した。右大腿から動脈瘤まで カテーテルを通し、コイルを巻きつけることで瘤を封じ込めた。上腸間膜動脈での動脈瘤は珍しい。」と言うことで、妻の手術特有のことだったのであろう。
緊急開腹手術
5月30日朝7時に主治医から緊急電話が自宅へ入った。朝方再び出血したことを受け、緊急手術をしたいので、病院に来てもらえないかとのこと。8時過ぎ病院に到着したものの、妻はすでに手術室へ移動しており会うことができなかった。主治医から説明を受ける。「一昨日処置した上腸間膜動脈のコイル脇から再度出血している。出血量は多くはないが、血管の炎症次第では縫合ではなくバイパス手術を行う。その際は心臓血管外科の先生の応援を仰ぐことととなるであろう。また、膵液漏があるため、再度の開腹手術はできないことから膵臓全摘を行う。術後のインシュリン注射によるコントロールが必要となる。」厳しい話だったけど、生き続けて欲しかった。
夕方5時20分手術が終わった主治医より手術内容の説明を受けた。
- 上腸間膜動脈の縫合、残膵の全摘を実施した。
- 輸血用の血液を取り寄せ、輸血・輸液が44パックで合計10L以上となった。
- 大動脈の血流をバルーンで止めるものの完全には止まらないため吹き出す血を横目に縫合していった。
- 上腸間膜動脈は手術すると詰まる傾向がある。その結果、小腸と大腸への血流がなくなり多臓器不全となってしまうため、今後は観察していく。
- ICUに数日滞在後、一般病棟へ移ることとなる。
一命はとりとめてもらった。緊急開腹手術前に会えなかったことから、再び会って話ができることを祈った。
退院まで(~2017年7月)
緊急開腹手術後は身動きできるまでの時間が最初の手術に比べて時間がかかった。しかも、膵臓全摘となってしまったため、インスリン注射による管理が必要となった。臓器がなくなってしまった自分の体の調子を確かめつつ、インスリンの自己管理を学び、7月8日に退院を迎えた。入院した5月から2か月で、病院外はすっかり夏になっていたことを覚えている。