がん闘病

在宅療養・介護を経験して注意した点、良かった点

私の妻はすい臓がんが原因で亡くなりました。

妻は膵頭十二指腸切除術と言う大手術で胃の1/6、膵臓半分、十二指腸、脾臓、胆のう、空腸の一部を除去し、術後3週間の時に仮性動脈瘤破裂と言う主治医が最も避けたいと言った合併症も経験しました。

辛い経験をした妻の「入院(点滴)はしたくない。」という思いが強かったため、抗がん剤の継続が難しいことを伝えられた際、私と妻は在宅介護を選びました。

その際、妻へ伝えたことは「体力が回復するまでの一時的な抗がん剤休薬期間として、自宅で過ごそう。」でした。

私自身が介護休暇を2か月取得して、介護を経験したことから、がん末期の方の在宅療養・介護で注意したこと、起こったことを記録します。それは、

転倒に細心の注意を払う

 

体力が落ちてきて最初の異変は廊下の歩行中やトイレの立ち上がり時に転倒しました。

大きな音がして駆けつけると本人も驚きの表情を浮かべていました。

段々と痩せていくので骨折等にも注意しなければなりません。

歩行介助用の歩行器の使用時

介護保険を使って大きめの歩行器をレンタルしました。

使用する人が勢いよくバランスを崩すと歩行器ごと転倒しかけたことがありました。

幸い転倒しませんでしたが、歩行器を使うことを考えると目を離すことができません。

ベッドから車いすへの移動、トイレでの立ち座り

両脇に腕を入れ一緒に反動をつけて立ち上がる際、 介助者と被介助者のタイミングが合わずに 腰を痛めそうになりました。

私は腰痛持ちではありませんが、コツがつかめるまでは腰に負担がかかりました。

入浴時の浴槽と洗い場の移動

亡くなる1週間前まで私の介助付きでしたが、お風呂に入っていました。

末期で体力が落ちると洗い場と浴槽の一跨ぎができなくなります。

筋肉が落ちて、足が上がらなくなるためです。

私が体を支えつつ、足を持ち上げて移動していました。

体位の変更介助が難しい

自力で起き上がるのが難しくなると自分でベッド上で体位を変えることが困難となります。

介護用ベッドをレンタルしていたので、体調の良い時は上半身を電動で起こすことが出来ました。

しかし、介護ベッドを起こして寝かしてを繰り返していると妻の体の位置が

足側へずれるため、頭側に体を移動しなければなりません。

大人二名以上で両サイドから体の下に腕を差し入れ移動することが正解でしたが、

介助が私1人ではできませんでした。

介助する側、される側の体重差

私が概ね70kg程度、妻は自宅療養の最後は40kg以下まで体重が落ちていました。

様々な介助をしていて気づいたことは「妻より体重が重い私だから妻を支えることができたのだろうな。」ということ。

これが逆になっていた場合、妻は私のことを自宅で介護できたのであろうか?と言うことです。

自宅に大人が二人いるのであれば、二人で支えることが可能ですが、

在宅介護をしている方は介助する側、される側が各1人の場合が多いのではないでしょうか?

急な呼び出しに対応していただける訪問看護等を利用できないか、探してみると良いでしょう。

良かったことは自宅で静かに過ごすことができた

病院だと、看護師、清掃の方、医師、見舞いの人がやってきて雑然としますが、

自宅の良いところは勝手知った家族しかいません。

訪問の看護師、医師が来てくれますが、あらかじめ時間が決まっているので気になりません。

食べたいものを食べたいときに食べられる。

落ち着いて日々を過ごしていました。

まとめ

自分が何らかの病気で残された時間が少ないと分かった時、

自宅療養・介護を選ぶかと問われれば、「選びたいが、状況による」と答えます。

妻がいない今、子供達の手間と時間を奪いたくないことから、

私1人で自宅に居ることが許されるのであれば自宅に居たいですが、

トイレに行けなくなった時点で難しいことが想定されます。

そういう意味では、以前、夫婦で先に亡くなるのはどっち?と言う記事を書きましたが、

先に介護される方が良いですね。

我が家はもう遅いけど。

 

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